型枠工事の流れとは?型枠工事の作業工程を7つの手順で徹底解説
型枠工事とは、建造物を作る際にコンクリートなどの材料を流し込むための型を作る作業のことです。
型枠工事を進めるにあたり、現場では様々な重要なプロセスがあります。
しかし、型枠工事について詳しく説明した記事が無かったり、今更誰かに聞くこともできなかったりと、お悩みではないでしょうか?
そこで今回は、初心者でも理解しやすいように、型枠工事の流れや作業工程を徹底解説していきます。
型枠工事業者をお探しの企業様や、業界について学びたい方の参考になれば幸いです。
なお、「そもそも、型枠工事とは?」ということが知りたい方は、以下のページからご覧ください。
型枠工事の流れとは?作業工程を7つの手順で解説
まず、型枠工事の流れは以下の7つの手順で進められます。
- 拾い出し・加工図の作成
- 資材の加工
- 墨出し・敷桟(しきざん)
- 建て込み(型枠の組み立て)
- 締め付け(締め固め)
- コンクリート打設
- 型枠解体
1つずつ解説していきます。
流れ①:拾い出し・加工図の作成
型枠工事の最初のステップは、拾い出しと加工図の作成です。
この作業では、型枠工事の施工図をもとに柱や床、壁、梁、スラブなどの形状や寸法、数などを拾い出して型枠加工図を作成します。
型枠加工図とは、型枠の製作に必要な寸法や形状を示したもので、現場での組み立て作業をスムーズに進めるための重要な資料となります。
- 図面を正確に読み取り、必要な資材を漏れなくリストアップする
- 加工図は現場作業員が見て理解しやすいように、明確かつ詳細に作成する
拾い出し・加工図の作成が完了したら、必要な資材があるか確認しましょう。場合によっては、建材業者へ発注し必要な資材を調達しておきましょう。
流れ②:資材の加工
次に行うのは、拾い出した資材の加工です。型枠工事に使用するベニヤ板や桟木などの木材や金属製の枠材を、加工図に基づいて適切な寸法に切断し、必要な形状に整えます。
寸法の誤りや加工の不備があると後の工程に大きな影響を及ぼすため、正確な加工が求められる重要な工程となります。
なお、この工程は現場にはいかず作業場や資材倉庫で済ませることが一般的です。
- 資材の加工はミリ単位の精度で行うことが求められる
- 加工後の資材は、現場に運びやすいように整理する
資材の加工が完了したら運搬担当がトラックで現場まで運びます。
流れ③:墨出し・敷桟(しきざん)
次の工程では、墨出しと敷桟(しきざん)の設置です。
ちなみに、墨出しと敷桟は型枠の施工現場で最初に行う作業です。
墨出しとは、型枠を設置する位置を図面を確認しながら現場にマーキングする作業のことです。具体的には、図面の情報を入念に確認しながら、型枠を設置する位置に線や印を墨でつけていきます。
もちろん、この工程でも墨出しが正確でないと、建物全体の精度に影響を与えることになるので十分に注意しながら実施します。
墨出しが終わったら、型枠の基礎となる敷桟を設置します。
敷桟(しきざん)とは、墨に合わせてコンクリートに浅木やを打つ作業のことです。
敷桟が適切に設置されていないと、型枠がズレたり傾いたり、最終的にコンクリートの形状や強度に悪影響を及ぼすことがあります。
そのため、施工の際には、図面に基づいて敷桟の位置を正確に設定し、水平を保つように注意しましょう。
- 墨出しは図面の情報を適切にマーキングする
- 敷桟は型枠の安定性を保つために重要な工程
いずれも型枠を施工する上で重要な工程です。
流れ④:建て込み(型枠の組み立て)
墨出しと敷桟が完了したら、実際に型枠を組み立てます。この工程を、建て込みといいます。
この工程では、敷桟に沿って枠材を配置し、支柱や補強材を使って固定します。組み立ての精度が建物の品質に直結するため、さらに慎重に行う必要があります。
型枠の組み立ては、建物の形状や寸法に合わせて行われます。ここでも水平方向と垂直方向に適切に建て込みを仕上げることが大切です。
- 型枠の強度と安定性を確保するためしっかりと組み立てる
- 組み立て中に、型枠が歪んでいないかを随時確認する
型枠の建て込みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
流れ⑤:締め付け(締め固め)
型枠を組み立てた後は、型枠の締め付け(締め固め)を行います。
これは、金具などで型枠をしっかりと固定し、コンクリート打設時に動かないようにするための作業です。
締め付けが不十分だと、せっかく組み立てた型枠が崩れたり、コンクリートの形状が変わってしまう可能性があるので注意しましょう。
- 締め付けは均等に行い、全体のバランスを保つことが重要
- 締め付け具はボルトやナットなど適切な強度のものを使用する
流れ⑥:コンクリート打設
型枠の準備が完了したら、コンクリート打設を行います。
コンクリート打設はその名の通り、生コンクリートを設置した型枠の中に流し込む作業です。
建物の構造を形成するための最も重要な工程の一つであり、基本的にはコンクリートを流し込む専門の業者が対応することが多いです。
コンクリートの品質や強度を確保するため、コンクリートが均等に行き渡るように注意し、空気を抜いて仕上げます。
- コンクリートの打設は、均等にするため適切なペースで行う
- コンクリートの品質や強度確保のために空気を抜きながら均等に流し込む
コンクリートが固まるまで待ちましょう。
流れ⑦:型枠解体
コンクリートが十分に硬化したら、型枠を解体します。型枠を外す際には、コンクリートにダメージを与えないように慎重に作業を行います。
なお、コンクリート打設後に型枠を解体するまでの時間は、1日〜7日程度が目安となります。
具体的には、以下の通りです。
- 壁や柱などの垂直部材
-
通常、1〜2日(24〜48時間)後に型枠を外すことができます。これは、コンクリートが設計強度の50%以上に達するための期間です。
- スラブや梁などの水平部材
-
一般的に1週間(7日)程度待つことが推奨されます。この期間でコンクリートは設計強度の70%以上に達することが期待されます。
上記はだいたいの目安となります。もちろん、現場の気温などの環境や、コンクリートの種類をはじめあらゆる要因によって異なります。
実際にコンクリートの状況を確認したり、現場監督の判断を仰ぐようにしましょう。
- 型枠解体は無理に行わず、コンクリートの強度を確認しながら進める
- 解体作業中にコンクリート表面に傷がつかないように注意する
型枠解体が完了すれば、型枠工事の一連の流れは完了となります。
なお、型枠解体の手順ややり方については、以下の記事で解説しています。
あとは、その後の施工を行う業者へ引き渡して、すべての流れ終了です。
今回解説した流れはあくまで一般的なものとなります。施工業者や現場環境によって流れが異なることもあると思いますが、その現場に合わせて進めていただければ幸いです。
型枠工事を始める時に整理しておくべき7つのポイント
次は、型枠工事を始めるときに、事前に整理しておくべきことを解説します。
- 設計図面や仕様書の確認
- 作業スケジュールの計画
- 資材や機材の準備
- 作業員の配置と役割分担
- 安全対策の確認
- 現場・周辺環境の確認
- 作業日における天候の確認
それぞれ解説していきます。
設計図面や仕様書の確認
型枠工事を始める前に、設計図面や仕様書を入念に確認します。必要な資材や寸法、形状、強度などの詳細を把握し、不明点があれば事前に解決しておきましょう。
確認を怠ってしまい直前になって資材が足りないことや、仕様に手違いがあると後々の作業に大幅に影響してくるため、余裕を持って確認・準備を行います。
作業スケジュールの計画
型枠工事の作業スケジュールを立案し、全体のスケジュールを決定します。
各工程の開始日・終了日を設定し、どのタイミングでどの作業を行うかを明確にしておくことが重要です。
また、作業スケジュールは現場の実情に合わせて柔軟に対応できるように、予備日を設けておくことも必要です。
例えば、悪天候や突発的な問題が発生した場合でも、予備日を設けておけば最終的なスケジュールに間に合わせることができたりします。
現場が焦らず安全に進められるためにも、スケジュールは余裕を持ってしっかりと組むことが大切です。
資材や機材の準備
必要な資材と機材をリストアップし、事前に手配しておきます。資材が足りない場合や、適切な機材がない場合は、工事が遅延する原因となります。
資材の数量や品質を確認し、不足や不良品がないように注意しましょう。
また、資材の確保だけでなく、トラックや重機、工具など必要な機材も事前に点検し、故障や不具合がないか確認します。
作業員の配置と役割分担
作業員の配置と役割分担も明確にしておきましょう。
各作業員がどの工程を担当するかを事前に決め、全員が役割を理解していることを確認します。
また、作業員が自社だけでは足りないような工事になる場合は、助っ人となる人員をあらかじめ採用しておくことも必要でしょう。
人員の適切な配置や役割分担を明確にすることで、作業効率が向上し、ミスの防止につながります。
安全対策の確認
現場での安全対策を徹底しましょう。
工事現場での安全ルールを周知し、必要な保護具があれば準備をしておくことが必要です。また、緊急時の対応方法や各作業員の連絡先も確認しておきます。
工事現場において、「安全第一」が最も重要となります。
そのため、緊急時の対応マニュアルを作成したり、作業員同士でのコミュニケーションを行い安全対策を徹底しましょう。
現場・周辺環境の確認
現場や周辺環境の確認も大切です。
現場で不要な物があれば片付け、必要な道具や資材をすぐに取り出せるように配置しておきましょう。
また、工事の前に周辺環境を確認し、近隣への影響を考慮します。騒音や振動、道路占用、交通規制、砂ぼこりなどが発生する場合は、近隣住民に事前に説明するなど、必要な対策を講じます。
作業日における天候の確認
型枠工事は天候によって作業に影響を及ぼす場合があります。
作業日における天気予報をチェックし、悪天候が予想される場合は作業スケジュールを調整しましょう。
また、繰り返しですが、天候に柔軟に対応できるように、スケジュールに予備日を設けておくと安心です。
天気予報を毎日確認し、急な天候変化に備えて安全に工事を行えるように配慮することが大切です。
なお、型枠工事の注意点については、以下の記事でも詳しく解説しています。
まとめ:型枠工事の流れとは?作業工程を7つの手順で解説
今回は、型枠工事の流れを解説しました。
おさらいとして、型枠工事は、拾い出し・加工図の作成から始まり、資材の加工、墨出し・敷桟、建て込み、締め付け、コンクリート打設、型枠解体と続く7つの手順で進められます。
今回の記事を参考に、安全かつ質の高い型枠工事を行っていただけると幸いです。
以上、型枠工事の流れと整理しておくべきポイントについて詳しく解説しました。
型枠工事に関するご相談や、型枠大工の仕事に興味がある方は弊社のお問い合わせフォームよりご連絡ください。