型枠支保工とは?型枠支保工の種類や必要な資格・足場との違いを解説

建設現場で重要な役割を果たす「型枠支保工」についてご存知でしょうか?

型枠支保工とは、コンクリート構造物の建設において、コンクリートを所定の形状に成型するために設置される型枠を支えるための支柱やサポート材などの装置のことを指します。

型枠支保工を施すことにより、コンクリートが硬化するまで型枠が所定の位置と形状を保持し、設計通りの構造物が出来上がるのです。

そこで本記事では、型枠支保工の基本から具体的な種類、必要な資格について詳しく解説していきます。

建設現場での施工品質と安全性を高め、効率的な作業を実現するための知識を深めていただければ幸いです。

なお、「そもそも、型枠工事とは?」ということが知りたい方は、以下のページからご覧ください。

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目次

型枠支保工とは?足場組み立て工事との違いも解説

まずは、型枠支保工の基本と足場組み立てとの違いについてご紹介いたします。

型枠支保工とは

型枠支保工(かたわくしほこう)とは、コンクリート構造物の建設において、コンクリートを所定の形状に成型するために設置される型枠を支えるための工法や装置のことを指します。

型枠工事の工程で、生コンクリートは流し込む際に、強い圧力が型枠にかかります。型枠がしっかり保持されていないと、その圧力に負け、コンクリートが外に流れ出し、無駄になってしまいます。

それらを防ぐために、型枠支保工により、せき板・根太・大引・パイプサポートなどの用具を使用し、型枠を組支え、コンクリートが流れ出ないようにします。その結果、コンクリートが硬化するまで型枠を所定の位置と形状に保持します。

このように、型枠支保工とは、コンクリートが固まるまでの間、組み立てた型枠をしっかりと支え、コンクリート構造物が設計通りの形状で施工され、安全性が確保されることに貢献します。

足場組み立て工事との違い

型枠支保工はよく足場組み立てと間違えられますが、全くの別物です。

足場組み立て工事とは、作業員が高所での作業を安全かつ効率的に行うために設置される仮設構造物のことを指します。一方、型枠支保工は主にコンクリートを成型するための型枠を支えるためのものです。

つまり、足場は作業のためのプラットフォームを提供しますが、型枠支保工はコンクリートの成型と硬化をサポートする点で異なります。

建設業界以外の人から見ると、どちらも鉄パイプなどを使用するために同じような作業に見えますが役割が違います。

繰り返しですが、足場組み立て工事は作業員が高所でも安全に作業ができるように足場を作りますが、型枠支保工は型枠からコンクリートの流出を防ぐための支えとしてパイプ等の支柱を組み立てます。

型枠支保工について代表的な10種類を紹介

型枠支保工には代表的なものが10種類あります。

型枠支保工の代表的な10種類
  1. パイプサポート式型枠支保工
  2. 枠組式型枠支保工
  3. 軽量支保ばり式型枠支保工
  4. 組立鋼柱式型枠支保工
  5. 組立鋼柱式型枠支保工
  6. くさび結合式型枠支保工
  7. コラムクランプ型枠支保工
  8. フライングフォーム式型枠支保工
  9. ドロップヘッド式型枠支保工
  10. スライドフォーム式型枠支保工

1つずつ解説します。

①パイプサポート式型枠支保工

パイプサポート式型枠支保工は、主にパイプを用いて型枠を支える方式です。

こちらは、天井やスラブなどの水平構造物の施工に広く用いられます。パイプは軽量で取り扱いが容易であり、高さの調整が簡単にできるため、さまざまな高さの構造物に対応可能です。

パイプサポートは支柱の1つであり、せき板・根太・大引き・パイプサポートという部材を使用します。パイプの長さを自由に変更できるため不規則な形状の構造物にも適していたり、現場の条件に合わせて柔軟に設計・施工が行えるなど、様々な利点があります。

パイプサポート式型枠支保工は、迅速な組み立てと解体が可能で、作業効率を高めることができるため、一般的に広く使用されている型枠支保工です。

施工の際は、パイプを一定間隔で配置し、その上に型枠を設置します。コンクリートの打設後、コンクリートが硬化するまで型枠をしっかりと支える役割を果たします。

②枠組式型枠支保工

枠組式型枠支保工は、標準化された枠組みを使用して型枠を支える方式で、高い安定性と強度を誇ります。

標準化とはすなわち、いくつもの使い回しができる枠組みパーツがあらかじめ用意されており、それらを施工の状況に応じて適した形に組み立てて型枠を支えます。

複数の部材を迅速に組み合わせることができるため、組み立てや解体が非常に効率的です。そのため、枠組式型枠支保工は、ビルの壁や柱、階段などの施工に適しており、その高い安定性と強度により、施工中の安全性も確保されます。

さらに、枠組みのパーツは再利用が可能で、コスト削減にも貢献します。

施工時には、枠組みを設置し、その上に型枠を取り付け、コンクリートを打設します。コンクリートが硬化するまで、枠組みが型枠をしっかりと支えることで、正確な形状の構造物を完成させます。

③軽量支保ばり式型枠支保工

軽量支保ばり式型枠支保工は、アルミや軽量合金などの軽量材料を使用して支保工を構築する方式です。

こちらは主に、住宅の基礎や小規模な鉄筋コンクリートの建物において使用される型枠支保工です。

高汎用性のある軽量材料を利用するため、取り扱いが簡単であり、組み立てや解体が迅速に行えます。施工時には、軽量な支保ばりを一定間隔で配置し、その上に型枠を設置します。コンクリートの打設後、コンクリートが硬化するまで型枠をしっかりと支えます。

軽量支保ばり式型枠支保工の特徴としては、軽量材料の持ち運びが容易であり、現場内での移動や配置換えが簡単に行えるため、柔軟な対応が求められる現場において高いパフォーマンスを発揮します。

④組立鋼柱式型枠支保工

組立鋼柱式型枠支保工は、鋼製の柱を使用して型枠を支える方式で、高い強度と耐久性を持ちます。

こちらは、大規模なコンクリート構造物の施工に適しており、高層ビルや橋梁の建設や、大規模な土木工事の際に利用されます。

H形鋼やI形鋼などのさまざまな断面を持つ形鋼の鋼材を使用します。これらの鋼柱は非常に強固で、重い荷重にも耐えられるため、施工中の安全性が確保されます。また、鋼柱は再利用が可能であり、コスト効率の面でも優れています。

そのため、組立鋼柱式型枠支保工は、特に高層建築物や長いスパンを持つ構造物の施工において、その強度と安定性、コストパフォーマンスから非常に有用性が高いとされています。

⑤四角塔式支保工

四角塔式支保工とは、6点の基本部材で構成され、あらかじめ作ったフレームや型をクレーンで吊り上げて運ぶ型枠支保工です。

四角塔式支保工は、高層建築物や橋梁など、大規模で高所の施工に適しており、垂直方向の荷重を効果的に分散させることができます。四角塔の形状により、構造物全体の安定性が向上し、施工中の安全性が確保されます。

さらに、強風や地震に対しても強い耐性を持ち、施工中のリスクを低減することができたり、許容荷重についても最大24トンもあり、部材と部材のスペースを広く取れることも特徴です。

高層建築物や橋梁などの大規模で高所な環境で、最適な型枠支保工だと言えるでしょう。

⑥くさび結合式型枠支保工

くさび結合式型枠支保工とは、くさびを使用することで簡単にできる型枠支保工です。

使用する工具もハンマーのみで、組み立てから解体まで素早く行うことができ、工期の短縮にも繋がります。

支柱1本あたり、許容荷重が6トン程度と大きく、建築・土木工事を問わずに対応できます。各メーカーから、システム支保工として多くの種類の製品が販売されているのも特徴の1つです。

くさび結合式型枠支保工は、組み立てと解体が非常に簡単であり、工期の短縮が可能です。また、部材は再利用が可能で、コスト効率の面でも優れています。そのため、住宅から商業施設、大規模インフラまで、さまざまな建設プロジェクトで利用されています。

⑦コラムクランプ型枠支保工

コラムクランプ型枠支保工は、コラムクランプを使用して型枠を固定する方式で、特に円形や多角形の柱の型枠に適用されます。

こちらは高い精度と強度を持ち、柱の施工において正確な形状を実現するために使用されます。

コラムクランプは簡単に取り付けられ、型枠をしっかりと固定するため、施工中の安定性が確保されます。そのため、特に高層ビルや橋梁など、円形や多角形の柱が多い建設プロジェクトで広く利用されています。

⑧フライングフォーム式型枠支保工

フライングフォーム式型枠支保工は、大型のパネルを使用し、一度に大面積の型枠を設置できる方式です。

こちらは大規模な床や天井の施工に適しており、施工効率が非常に高いことが特徴です。フライングフォームはクレーンで移動可能であり、迅速に位置を変えることができます。

施工時には、大型のパネルをクレーンで所定の位置に設置し、その上に型枠を配置します。フライングフォーム式型枠支保工は、一度に大きな面積を施工できるため、工期の短縮が期待できます。また、パネルは再利用が可能であり、コスト削減にも効果的です。

そのため、商業施設や大規模なインフラプロジェクトなど、大面積の構造物の施工において利用されており、その効率性と精度から高いパフォーマンスを発揮します。

⑨ドロップヘッド式型枠支保工

ドロップヘッド式型枠支保工は、ドロップヘッド機構を利用して、部分的に支保工を解体できる方式です。

こちらは、コンクリートが部分的に硬化した段階で型枠を再配置可能であり、工期の短縮とコスト削減に効果的です。

ドロップヘッドは、型枠を支える支保工の上部に取り付けられ、簡単に操作できるため、部分的な解体が迅速に行えます。施工時には、ドロップヘッドを支保工に設置し、その上に型枠を配置します。コンクリートを打設した後、コンクリートが部分的に硬化した段階でドロップヘッドを操作し、型枠を再配置します。

ドロップヘッド式型枠支保工は、特に連続施工が求められる現場で効果を発揮し、効率的な施工を実現します。また、支保工の部材は再利用が可能であり、コスト効率の面でも優れているため様々な現場で利用されています。

⑩スライドフォーム式型枠支保工

スライドフォーム式型枠支保工は、連続的に型枠を上昇させながらコンクリートを打設する方式です。こちらは、高層建築物の壁や円筒形タンクの施工に適しており、迅速な施工が可能です。

スライドフォームは、型枠を連続的に上昇させることで、コンクリートを継ぎ目なく打設することができます。施工時には、型枠を所定の位置に設置し、コンクリートを打設しながら型枠を少しずつ上昇させるので、高い精度と滑らかな表面の構造物が完成します。

スライドフォーム式型枠支保工は、短期間での施工が可能であり、工期の短縮に寄与します。また、型枠は再利用が可能で、コスト削減にも効果的なので、高層ビルや大型タンクの施工において利用されます。

型枠支保工を扱うのに必要な資格とは?

型枠支保工を扱うのに必要な資格とは何か、受検には何が必要か、また講習の内容などをまとめました。

必要な資格は型枠支保工の組立て等作業主任者

型枠支保工を行うためには、国家資格である型枠支保工の組立て等作業主任者が必要です。

型枠支保工の組立て等作業主任者とは、型枠支保工の組み立てや解体をするときの監督・指導を行うための資格で、作業の支持だけでなく工具の点検や墜落制止用器具(安全帯)・保護帽の着用チェック必要です。

型枠支保工の組立て等作業主任者を取得するためには、厚生労働省が認可した団体の型枠支保工の組立て等作業主任者技術講習の受講と修了が必要になってきます。

受験資格は何が必要?

型枠支保工の組立て等作業主任者技術講習を受けるには、以下の条件が必要です。

  • 型枠支保工の組み立て・解体に関する作業に3年以上従事した経験がある
  • 大学・高校・中等教育で土木や建築に関する学科を専攻して卒業し、その後2年以上の型枠支保工の組み立て・解体に関する作業に従事した経験がある

以下の記事から引用しておりますので、詳細は以下をご覧ください。

>>参考:足場の組立て等作業主任者技能講習

講習の内容と時間は?

【型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習の内容】

講習内容時間
型枠及び型枠支保工の組立て・解体等に関する知識の習得7時間
工事用設備・機械・器具・作業環境等に関する知識の習得3時間
作業者に対する教育等に関する知識の習得1時間30分
関係法令の知識の習得1時間30分
修了試験の実施1時間

講習時間は合計14時間です。2日間にわたって実施されます。

例外として、とび1級・2級あるいはブロック建築1級・2級を取得している者は、講習内容の一部が免除になります。

講習・受験料の他にテキスト代が必要です。

詳しいことは各都道府県の、建設業労働災害防止協会の支部に問い合わせて確認しましょう。

まとめ:型枠支保工とは?種類と必要な資格を解説

型枠支保工とは、コンクリートを設計した通りの形にするため、しっかりと型枠を組み支えて保持することをいいます。種類は6種類あり、それぞれ特徴があるので施工する建物などによって使い分けが必要です。

また、型枠支保工を行うには国家資格が必要です。3年以上の実務経験が受講の条件になりますが、国家資格を取ることで、現場でさらなる活躍ができるようになるでしょう。

型枠工事に関するご相談や、型枠大工の仕事に興味がある方は弊社のお問い合わせフォームよりご連絡ください。

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この記事を書いた人

岐阜県で型枠工事ならタツエイにお任せ下さい。岐阜県を中心に、東海地区で型枠工事を行なっております。愛知県、岐阜県、静岡県、三重県、滋賀県で型枠工事業者をお探しの企業様はぜひご相談下さい。

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